また、同じ夢を見ていた
“また、同じ夢を見ていた”
住野よるさん二作目。
学校に友達がいない私が出会ったのは
手首に傷がある南さん
とても格好いいアバズレさん
一人暮らしのおばあちゃん
そして、尻尾の短い彼女だった。
(帯より抜粋)
二作目を読んで、やはり住野よるさん好きだな~、と本気でファンになった作品でした。
誰にでも、無数の未来が存在している。
それは、現在の、過去の、未来の、自分の選択肢で変わっていく。
いいようにも、悪いようにも。
この作品の主人公は、空気が読めなくて、頭がよくて、純粋で。
住野さんの作品はいい意味で裏切られる小説です。
先が見えない小説は面白い。
読み終わった後、様々な思いが心に沸き上がります。
一言では書き表せない。なんとも言えない。
でもとても幸せで、悲しくて、でも悲しいわけではなくて。
大人だからこそ読んでほしい。
大人になり切れないからこそ読んでほしい。
大人になってしまって、子供のときの感情を忘れてしまったからこそ読んでほしい。
主人公と巡っていく非日常な日常。
南さんのことも、アバズレさんのことも、おばあちゃんのことも、彼女のことも、
そして主人公のことも私は大好きなのです。
この本を読了したのは少し前。
読み終わってしまってもう彼女たちには会えないけれど、読み返すことで何度でも会える。
彼女たちの中で、一体だれが幸せなのだろう。
だれが不幸なのだろう。
すべて彼女たち自身が選んだ道で、彼女たちが進んだ道で。
主人公は彼女たち全員のことを素敵な大人だと言った。
彼女たちになりたいと願った。憧れた。
けれど、彼女たちは自分のことを誇れる大人だとは思っていない。
ずっと闇を抱えている。
おばあちゃんは幸せだと、それでも笑う。
何が幸せなんだろう。
何がいい選択なんだろう。
それはきっと過ぎてみないとわからない。
大人になった今、社会人になった今、改めて読もうと思える小説。
人生はプリンみたいなものってことね。
主人公の口癖は難しくて、とても子供らしい。
しっあわせはーあーるいーてこーないー、だーかーらあーるいーていくんだねー。
主人公の口ずさむ歌は、読み終わった後も彼女の歌い声で聞こえる。
涙なしには読めない。
特に、二週目からはどこを読んでも泣きそうになる。
私の心が荒みすぎているだけなのかもしれませんが……。
けれど、言わせてほしい。
決してこれはバッドエンドではないのです。
不幸な話ではないのです。
どこまでも幸せで楽しくて純粋で。
そして紛れもなくハッピーエンドなのです。
主人公は大好きな人たちに二度と会えないけれど、
いつか絶対にみんなと会えるのです。
だまされたと思って読んでほしい。
住野さんの小説はどこまでも心に響く。
けれどわざとらしくはない。
難しくて、難しくない。
久しぶりに小説を開いたら泣けました。
心に染みる。
今日はこのあたりで。
いつ読んでも、何を読んでもおすすめ。
次も住野さん作品の紹介になるかもしれません。